■はじめに―批評の自由

 リヒャルト・ワーグナーという音楽家がいます。彼は反ユダヤ主義者でした。彼の反ユダヤ主義と北欧神話に基づくゲルマン民族主義に彩られた音楽は、ナチスドイツに利用された。その結果、戦後成立したイスラエルではワーグナー音楽はタブーとなりました。そのタブーを1981年にインド人指揮者ズビン・メータが、2001年にはダニエル・バレンボイムが打ち破った。もちろんその時は賛成派、反対派双方の激しい応酬がありました。このワーグナーの音楽をどう思いますか?